2014年3月24日月曜日

「経営者保証ガイドライン」により個人保証は外れるのか

中小企業の銀行借入においては、ほとんどのケースで経営者の個人保証が求められています。つまり、企業の事業展開のための資金調達にも関わらず、経営者個人(場合により、その家族など)までが、返済の責任を負うのが原則なのです。
これには、金融機関からみた信用補完となることにより資金調達が円滑化するというプラス面はあるものの、経営が窮地に陥った場合には経営者個人の生活も破綻するリスクがあるため、結果的に思い切った事業展開が阻害されてしまうというマイナス面もあり、大きな社会問題となっていました。これを受けて中小企業団体や金融関係者が中心となって、「経営者保証に関するガイドライン」が策定され、昨年12月に公表されました。
主な内容としては、
1  「健全な経営が行われている」場合においては、経営者の個人保証を求めないこと
2    多額の個人保証を行ったとしても、保証債務履行後も華美でない自宅には住み続けられること
3    保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること
といった、従来の実務では明確ではなかった「頑張る経営者を応援する対策」が盛り込まれています。

1の「健全な経営」の具体的な要件としては、
①返済手段としてのキャッシュフローが十分に見込める
②財務状況を適時・適切に債権者に伝える
③経営者と会社(債権者)が利益が相反する取引(役員報酬や配当方針の設定、貸付行為など)については、十分に留意して決定する
④上記のプロセスにおいては、会計士や税理士など外部の専門家が検証する
といった内容で、まさにベンチャー企業が上場に向けて準備をするプロセスと全く同じです。上場企業レベルまではいかなくても、「上場に準ずる体制が中小企業で構築できる」とのであれば個人保証は無くても銀行取引は可能となるのです。

また、2と3は、今までの実務で、経営者の再出発を阻害していた点です。これは
①会社及び経営者が弁済について誠実であり、債権者の求めに応じて各々の財産状況を適時適切に開示すること
②会社が民事再生などの法的整理手続き(及び、法的整理に準ずる私的整理手続き)を実施し、債権者にとっては、破産よりも合理性があること
などが、主な要件とされています。つまり、「事業の再生と債権者の利益を重視して早めに対策を取る」限りにおいては、今まで債務保証の弊害とされてきたようなリスク要因もほぼ回避できるように思われます。

総じていえば、「誠実に、かつ合理的に行動すれば、個人保証の不合理な結果は避けられる」ということで、内容的には目新しいものでもないようにも思いますが、ガイドラインとして公表された意義は十分にあると思います。
弊社においても積極的にサポートして参りますので、お気軽に御相談ください。

*なお、上記の動きにも関連しますが、日本の民法では「連帯保証人制度」も伝統的に存続しており、金融機関も会社代表社の妻や、友人に連帯保証を求めるケースも過去には有りました。そして、個人破産の約25%は連帯保証をしてしまったための「他人の借金」による破産と言われています。このような不合理をなくすために、民法自体の改正も検討されています。(2013年2月民法の改正に関する中間試案)